一戸建ての給湯ボイラーの灯油ホースから灯油が漏れていて、気が付いた時にはボイラーが設置されている脱衣所の床が灯油でビチャビチャ。
という現場がありました。
僕はすぐに解体して消臭を薦めましたが、リフォーム業者さんの判断で灯油で濡れた部材の交換のみでリフォームが終了してしまいました。
しかし全く臭いが消えておらず再度僕が呼ばれ、リフォームした個所を全て解体し消臭作業を行った現場でした。
リフォーム業者さんは建築のプロですが臭いのプロではありません。灯油漏れは特にリフォームだけでは臭いが消えることはほぼあり得ません。
臭いが消えずに見た目だけ新品になればいいという条件であれば問題ありませんが、灯油のにおいがずーっとし続けるのは相当つらいものがあると
思います。
奥にお風呂が見えますかね?白いパイプの上あたりが脱衣場。手前の空間が脱衣場横の和室です。
目視では脱衣場床のみが灯油でビチャビチャでしたが、灯油は想像以上に広範囲に浸透し臭いを放ちます。
よく設備屋さんが「イナグサー」という灯油消臭剤を使うんですが、これは使ってはいけないと思います。
逆に臭いが取れなくなるケースが多いです。使ってしまった場合は灯油のにおいの他にイナグサーの臭いも消す作業が増えてしまうので
その分少し消臭代金が増えてしまいます。
灯油などの臭いの原因と考えられる主成分は炭化水素と硫黄系臭気成分と言われています。
一度漏れてしまった灯油は拭いたり洗ったりすればキレイに無くなったように見えますが、ものすごく少量でも何処かに残っていると臭いはいつまでも感じられます。
また、木材やコンクリート、壁下地の石膏ボードなどに炭化水素が染み込んでいる場合は少しづつ揮発してくるために「リフォームしても灯油のにおいが消えない」という
ことが起こってしまいます。
ちなみに「灯油用消臭剤」みたいなスプレーするだけで灯油のにおいを消すことが出来る消臭剤というのは今のところ存在しないと思います。
灯油に効果が出やすいとか幾らかましになるという消臭剤はありますが。
お問い合わせ時に多いのが「リフォームとか大工事までやらなくても、スプレーするだけで臭いが消える方法ないの?」という質問。
これは「ありません」としか言いようがないです。
本格的な消臭の場合はリフォーム工事が必要になりますのでまずは解体を行います。
解体を行うことで実際に灯油がどこまで漏れ広がったかを確認することが出来ます。過去の経験で言うと「え?こんなところまで?」という広範囲に広がっている
場合が殆どです。
解体後に灯油の抜き取り作業を行います。
木部やコンクリートに染み込んだ灯油もある程度抜き取ります。
この作業がとても重要です。使用する機械の吸引力や吐出圧力などそれなりの高スペックが求められます。
抜き取りが終わったら消臭作業に進みます。
灯油に効果がある消臭剤はほぼ無いに等しいんですが、灯油の臭気成分一つ一つを見ていくとそれぞれに効果がある消臭剤はありますので、イメージですが
灯油のにおいが10個の物質で構成されているとすれば、最初に1番を消し、次に2番を消すようなイメージで消してゆきます。
それでも消えない臭いが出てきます。その場合は特殊コーティングで防臭します。
コーティング剤は選定が難しくて相手が灯油ですから、並みのコーティング剤ではすぐに剥がれてしまいます。(油の上にコーティングとか塗料とか塗れませんから)
そして灯油の厄介なところは揮発した灯油分が濃ければ濃いほどオイルミストみたいになり全然関係のないところに付着したりします。それが臭いを発することもあります。
例えばカーテンとか、解体していない壁紙、玄関ドア、ガラス、置いたままの洗濯機とか。結構オイルミストはあちこちに飛んで付着します。
こういう細かなところも丁寧に臭気の調査を行いながら臭いを消してゆきます。
最終的には現状復旧のリフォームを行い完工となります。
Beクリーンは消臭を行うのみですが、必要であれば解体やリフォームまでBeクリーンで一貫して請け負うことも可能です。
(ただ、建築とか解体の資格や許可がないためリフォームの部分は専門の協力業者さんへ委託になります)
消臭現場を施工したことがあるリフォーム会社さんは消臭のためのリフォームのやり方を心得ているので、仕上がり精度が高くなるのでお勧めです。
今回の現場はリフォームはBeクリーンとは関係のない会社さんが行ったので、Beクリーンは消臭作業のみでした。
作業面積は17平米くらいで、代金はざっくり70万円くらいでした。(消臭のみ)高いのか安いのか?これはお客さんが判断することなので僕は分かりませんけど
灯油の臭いって自然に消えるまで2年くらいかかります。2年間も強烈な灯油の臭いに悩まされながら暮らすって相当辛いものがありますよね。
何かの参考になればと思い作業事例を載せてみました。